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世界を魅了する食材

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日本の食用蟹文化:チャンピオンがベニズワイガニのわけ

ズワイガニ(松葉ガニ、越前蟹:Chionoecetes opilio)は冷製カクテル・ソースも美味しい(*中央は生シラス)アジアの食用蟹文化(5):アジアの食用蟹図鑑1.西高東低のカニ食文化:庶民には縁遠くなったタラバガニ、ズワイガニ、ケガニ世界一のエビ好き日本人は蟹(カニ)も大好き。他国に比べれば常食する種類が最も多い国かもしれません。ただし、西日本と東日本太平洋岸では食用蟹(かに)の多様さが異なり、山陰地方、瀬戸内海地方から九州ではローカルな食用種が豊富。日常的に多種類が身近なことでは西日本以南が勝ります。首都圏など太平洋沿岸地域住民のカニ食量は産地が近い日本海沿岸や北海道民に較べて、半分にもなりません。首都圏では豊洲中央市場を除けば一般市場経由で入手できる活き蟹は通年で約7~8種類。毛ガニ、タラバガニ、花咲ガニ、ズワイガニ、上海カ二、ワタリガニ(ガザミ)、ヒラツメガニ、沢蟹くらい需要の多い新鮮なケガニ、ズワイガ二、タラバガニなどの規格品はキロ5,000円から数万円。3品種の本来の国内需要は150,000トン/年はあるでしょうが、60年代以来、減産と価格高騰が続き、現在は、とても庶...
健康と食品の解説

大腸がんに著効を示す タマネギのケルセチン

長寿社会の勝ち組となるには(その8):赤紫色素は美容と長寿の最強抗酸化ポリフェノー(4) アリシンとアントシアニンのコラボレーションニンニク、玉ねぎは認知症、心臓血管病、癌(がん)など現代で最も厄介な疾病に著効を示すスーパーフード。ラテン民族は紫色のアントシアニンが優れた抗酸化物質ということを知っていますからニンニク、玉ねぎも赤紫色の品種を選ぶ人が少なくありません。日本でも紫色の野菜に関心を強めれば生活習慣病の予防と治療に役立つでしょう。アジア周辺でニンニク生産量が多いのがタイランドと韓国(インド、中国を除く)1.ニンニクに期待される有用成分はアリシン単独では無いネギ科(Alliaceae)のニンニク(Allium sativum)やタマネギ(Allium cepa)が害虫や微生物に優れた防御システムを持っていることは体験的、疫学的に多くが認めていることですが、その仕組みの詳細には未明点が多々あります。ニンニク類からアリシン(Allicin)が米国で分離されたのは1944年。その後はニンニクやタマネギが感染症の原因となる微生物や寄生虫などを防ぐのはアリシン。脳梗塞、心筋梗塞を防ぐ溶血性...
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南米チリの食文化:朝締め仔羊が最高のごちそう

タルカの紋章(ブラゾン)湘南料理人のサルバトーレ松波さんから今月(2015年1月)初めにサンチャゴ(南米チリ:República de Chile)に出張した時のレポートが届きました。サルバトーレ松波さんは転勤で在ヒューストン(米国テキサス州).仕事は北米中心に中米、南米が守備範囲.「一段落した週末に気の合う若手社員が、彼の実家に招待してくれました。実家はサンチャゴから250キロほど離れたタルカ(Talca:タルカ県:マウレ州)で牧場を経営.緑豊かな田園の中で飛び切りのおもてなしを受けました。」「歓迎の宴で驚いたのは主菜が朝締仔羊の丸焼き。相模湾沿岸で入手できる活魚で「魚の活造り」には親しんでいましたが、「羊の朝獲れバーべキュー」は初体験。ハウスの周りにも放牧されて、朝方にはのどかに草を食べていた羊が午後には丸焼きになるのですから驚き。欧米人には生簀(いけす)からの「魚の活造り」が残酷に映るようですが、哺乳類ならば抵抗が無いのでしょう。。食文化の大きな違いにショックをうけましたが、やはり獲りたてはいやな臭いもなく美味、美味。堪能しました。狩猟民族の欧米人や大陸の遊牧民などにとって羊、ヤ...
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スパニッシュバスクのウナギ稚魚料理: 伝統食文化を守る魚のすり身

フランスの至宝ビアリッツ・リゾート(Biarritz)フランスが自他ともに世界一と認める「食と観光」を日本にレポートしているマリー・セシルさん。2014年の夏休み一回目の家族旅行は大西洋に面したバスク地方(Basque)のビアリッツ(Biarritz)とサンセバスチャン(Sebastian:Donostia)スペイン語、フランス語、英語、バスク語が入り乱れ、不慣れな観光客には戸惑いが多い地方ですが、観光立国を目指す国のあるべき姿をレポートしてくれました。バスクのバールで経験したメニュー説明の入念な気配り。個々の宗教、健康に必要な情報です。数多いメニューですから事情の分からない観光客を誤解させない、結果的に騙す(だます)ようなことがないよう配慮されていました。これは国際的な観光客を迎える業者の最低限のマナー。食の偽装、詐称が当たり前のような日本人、中国人はなぜスペインが来客5,000万人を超える観光大国なのかを見習うべきでしょう。サンセバスチャン・ビーチ(Sebastian:Donostia).一見穏やかなビーチには名物の砂嵐が襲来します。1.サンセバスチャン(Sebastian:Don...
世界の健康と食の安全ニュース

鍋(ラウ)料理に美味しい花野菜 花鍋(ラウ・ホア)は実在?

市場片隅のごく小さなスペースで花野菜世界チャンピオンのブロッコリーを売る生産者.カリフラワー、ズッキーニ、カボチャを組み合わせで売る健康志向のセンス.流石です.(ニャチャン:ベトナム)旧フランス領インドシナの食文化(5):花、蕾、果実は不思議な健康力を発信します。その成長歴の全てが凝縮されているからなのでしょう。アブラナ属のブロッコリー(Broccoli:Brassica oleracea var Italica)はつぼみの塊ですが、この蕾には非常に優れた体力増強の秘密があります。ブロッコリーが世界的に健康野菜の王者に認定されたこともあり、最近は保健面から花食(エディブルフラワー)に関心が高まっています。菜の花に代表されるアブラナ属(Brassica)は健康野菜最大のグループといわれ、ブロッコリーと並んで両雄といわれるキャベツのケール(Kale:またはBorecole:Brassica oleracea var. acephala)も同属。しかしながら安全性の高い野菜として数百年の歴史を持つ花はそれほど多くありません。野菜としての歴史のないマイナーな花をあえて食べるのは特別なマニア。マ...
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世界の生牡蠣市場を支配する日本のマガキ:オセアニアと東南アジア

ウェリントン・ランプトン・ハーバー(Lambton harbour)のカジュアルなシーフード・レストラン。 これであなたも生牡蠣博士第五話:オセアニアの生牡蠣は1にブラフ、2にブラフ、3、4、がなくて5もブラフ。一度食べたら病みつき間違いなしの超美味。シーズン(3月から)にブラフを見逃したら後悔します。  オセアニア両国の国旗は南十字星を配した類似デザイン。二つの紋章からは野生が感じられます。1.シーフードに関心の薄い在オセアニアのイギリス人オーストラリア、ニュージーランドは長い海岸線を持ち、マリーンスポーツが盛ん。魚介類もかなりの種類が獲れますから、観光客はシーフード天国を期待する方が多いようです。ところが、よほど探さないとグルメがお気に召すシーフードレストランはありません。大都会の港、シーサイドには観光客向けの景色が良く、インテリアデコレーションに凝った先進国並みの豪華レストランがいくらもありますが、いまだに大雑把な観光客用の料理を出すレストランが大部分。世界を知るシ-フードグルメならばまず満足ができないでしょう。この国の成り立ちから考えれば食文化の違和感が納得できます。オーストラ...
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世界の生牡蠣市場を支配する日本のマガキ:北アメリカ太平洋岸とメキシコ・ガルフ

これであなたも生牡蠣博士第四話:1.産地間競争が激化する北米大陸の牡蠣生産業北米大陸の商業用牡蠣生産の伝統と歴史なら東海岸。商業用牡蠣の生産量なら西海岸とメキシコ湾。現在の東海岸の生産量は需要を十分に満たしていませんから全国に流通する量では後者が圧倒。総生産量で全米市場を寡占していますが、2000年前後から市場が変化し、新たな戦略が求められています。生産量は少なくなりましたが、アイデンティティーのある東海岸産はグルメのファンが多く、産地間競争を繰り広げるルイジアナ州、ワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州、フロリダ州などの新たな脅威となっています。生鮮魚介の輸送方法の発達とともに競争の激しさは増すばかり。牡蠣は海水なしに相当期間生存しますから輸送が比較的易しい貝。 数十年間続く世界的な牡蠣需要の低迷は北米大陸生産者共通の悩みですが、差別化が出来ていない産地が新たな戦略を展開。牡蠣は品種が限られるだけに、まずは新たなネーミングがスピード感のある打開策。ウェスト・コーストのつぎの戦略はオセアニア、フランスなどからの品種導入、絶滅した原種オリンピアの復活などがターゲットとなっています。2...
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世界の生牡蠣市場を支配する日本のマガキ:北アメリカ大西洋岸

これであなたも生牡蠣博士第三話秋風が吹くころになると米国東部では待ちに待った生牡蠣が市場に出てきます。日本人のアメリカ通には25~30産地の生牡蠣を供することで著名なマンハッタンのグランドセントラルのオイスターバー(Grand Central Oyster Bar:1913年創業)や米国一古いレストランと言われているボストンのユニオンハウス・オイスターバーが懐かしくなるシーズン。なんといっても米国東海岸はアメリカ合衆国発祥の地。当然ながら牡蠣の歴史も最古。東海岸の150年を超える牡蠣食の歴史はこの地独特の品種イースタン・オイスター(クラッソストレア・ヴァージニカ種)が説明してくれます。グランドセントラル・オイスターバー(Grand Central Oyster Bar ):1913年創業.マンハッタンのグランドセントラル駅ビル内にあります。Grand Central Terminal lower level42nd Street btw. Vanderbilt & Lexington Aves. 212-490-6650.アサチーグ島とチンコーティーグ島原住民の牡蠣食歴を別にすれば、欧...
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世界の生牡蠣市場を支配する日本のマガキ: フランス これであなたも生牡蠣博士第二話:フランスは生牡蠣文化発祥の地.
これであなたも生牡蠣博士第二話:フランスは生牡蠣文化発祥の地.

これであなたも生牡蠣博士第二話:フランスは生牡蠣文化発祥の地.シーズンにはお魚屋さんに様々なサイズの牡蠣があふれます.M2~M5の数字はサイズ.小さい数字が大きい牡蠣.価格はダース単位.サイズ2の大きさになると1個単位の価格.上の写真はマレンヌ・オレロン産の牡蠣を主体に売る店.ファンの多いブルターニュのモルレー産プラタルクム牡蠣(マガキ)も特別に扱っています(下段の写真左上部の赤札表示).取材はナント(Nante:2013年12月)*文中の町のシンボルは仏語でブラゾン(Blason:紋様)と呼ばれている。漁業が有名な町の紋様デザインに帆船のモチーフが多いのが興味深い。1.生牡蠣はフランス発の世界的な生食海産物9月を迎えると北半球北部はグルメに待ち遠しかった生牡蠣のシーズンに入ります。生牡蠣といえば、第一にフランスを思い浮かべる方が多いと思います。事実、歴史が古い初秋のパリ、リヨン、マルセーユなどの都市部ではレストラン店頭に山盛りの生牡蠣が溢れます。自称グルメは餌のプランクトンを充分に食した春先の牡蠣が美味しいと評価しますが、ノロウィルス、A型肝炎ウィルスや腸炎ビブリオ細菌が付き易い牡蠣...