loader image

認知症と動脈硬化のニュースと解説

感染症の海外ニュースと解説

パーキンソン病と脳神経変性疾患の抑制

現在のパーキンソン病患者は世界で約1千万人。この数字は新コロナウィルスの感染者数に匹敵しますが、新ウィルスは治癒した患者(少なくとも表面的に)が相当数を占めますから増加する一方のパーキンソン病患者ほどの数になりません。パーキンソン病はアルツハイマーを超えて最も急速に増加している脳疾患。過去25年間に世界では2倍ともなっています。同時期の数字ではありませんが米国は2008年からの過去10年間で35%増。日本は平成の30年間で約8万人強から16万人強へと倍増。いずれも病院、診療所で受診した方だけの数字です。このコラムは「天然オメガ3脂肪酸の抗炎症メカニズム:脂質メディエーターのレソルビン(Resolvin)とは」2017/11/25とレゾルビン解説に関しては重複します。パーキンソン病抑制と新コロナウィルス治療には旬のイワシを毎日でも食べましょう。イワシの種類と調理法が解説されています。「賢い子に育てる究極のコツ」その2 旬のカタクチイワシとマイワシが育てる賢い子長寿社会の勝ち組になるには(その45) 1.  パーキンソン病抑制と新コロナウィルス治療の共通性新コロナウィルスは相変わらず正体の...
糖尿病のニュースと解説

「鉄剤注射は肝腎を害し寿命を縮める」 

(まえがき)学生スポーツに蔓延する「鉄剤注射」の危険性非アルコール性脂肪性肝炎(ナッシュ:NASH)とは血中酸素供給量は赤血球のヘモグロビンを構成する鉄分を別途供給することにより増やすことが出来ます。血中酸素供給量増は持久力の必要なマラソンなどのタイムを短縮できることが知られていますが、肝臓、腎臓に蓄積していく鉄分の有害性は命に関わるほど危険です。2018年12月中旬になり、学生駅伝のランナーに半強制的に貧血治療用の医薬品である「鉄剤注射」を強いる指導者や医師が、スポーツドクターらに再警告されマスコミ(読売新聞)の話題となりました。学校の生徒募集促進や指導者ら自身の地位向上のためにNHKテレビなどで全国放送される「駅伝」「陸上競技」などは宣伝効果が抜群で利用価値の高いスポーツ。とはいえ、若いアスリートに減量を強い、栄養失調状態に追い打ちをかけるように高単位の「鉄剤注射」を強いることは肝臓、腎臓に大きなダメージを与え、早死にを促進する行為といえます。すでに2016年に日本陸上競技連盟が「健康を害する行為」として警告をしており、朝日新聞がドーピング類似行為として報道した時にはロハスケでもこ...
世界の健康と食の安全ニュース

長寿社会の勝ち組となるには(その28) ビーポーレン!類例が無い、驚くべき多様な活性物質

1. ビーポーレンと花粉とは異なりますミツバチは採取した生花粉をそのまま食するわけではありません。巣(comb)の中に唾液とともに入れ、ハチミツで封入し保管しています。この作業により花粉が発酵し、付帯物質が様々な科学変化をおこします。それがミツバチのパン(bee bread)とも呼ばれるビーポーレンです。2. ビーポーレン(bee pollen)はミツバチが花粉で作る伝統医療食品ビーポーレン(bee pollen)は直訳すれば「ミツバチの花粉」ですがミツバチが草本類から採集した様々な物質が含まれています。「ミツバチと花粉」が正解かもしれません。ビーポーレンは欧州を中心に数千年来の歴史を持つ伝統医療薬品として珍重されてきました。強精、強壮のエネルギー増強が広く知られていますが、他に類例のないほど天然のビタミン類、ミネラル類に、数多くのポリフェノールやアミノ酸、脂肪酸などの有用物質が加えられており、疫学的に幅広い効能が示されています。近世の研究者によれば、ビーポーレンは強精、強壮ばかりでなく、あらゆる体の不具合に服用されてきた超能力生薬の歴史があるそうです。3. ビーポーレン(bee po...
トランス脂肪酸のニュースと解説

医療新時代を開くナイアシン(NAD+ NMN)その3: 男性型脱毛症(AGA)は ナイアシンでプロスタグランディンD2の制御 ?
男性型脱毛症(AGA)は ナイアシンでプロスタグランディンD2の制御 ?

1. 薄毛、男性型脱毛症(AGA)などにナイアシンとプロスタグランディンD2拮抗薬数年前から、薄毛、男性型脱毛症(androgenetic alopecia:AGA)などの毛髪トラブルにナイアシン(ビタミンB³)や、ある種((PGD2)のプロスタグランディン受容体拮抗薬が効果的との評判が広まり、副作用に疑心暗鬼ながらも利用する人たちが絶えないようです。ナイアシン(VB³)は人体の生化学的経路のほとんどに関与しているといわれ、様々な健康効果を得るための酵素反応に関わる補酵素の王様です。スーパーな働きをするだろうことは疑う余地がありませんが、それだけに過剰摂取の副作用もスーパー。ナイアシン(VB³)の優れた補酵素の働きはエネルギー代謝を行うミトコンドリアで顕著です。それ故、医療分野でのナイアシンは主として脂肪酸代謝機能改善に使用されていますが、欧米では5年ほど前から、肥満予防、解消にサプリメントで過剰摂取する人が急増。重篤な副作用が問題となっています。ナイアシン(VB³)解説は下記に「ナイアシン(NAD+ NMN)がサーチュインとコラボレーション:長寿と癌(がん)研究の新たな潮流 」 2....
糖尿病のニュースと解説

パーキンソン病の脳細胞回復にナイアシンが効果的

医療新時代を開くナイアシン(NAD+ NMN)その21. パーキンソン病治療とiPS細胞7月末(2018年)にパーキンソン病(Parkinson's disease)で冒された脳神経細胞をiPS細胞で再生する治療法の治験開始が報道されました。iPS細胞(人工多能性幹細胞)から神経伝達物質(ドーパミン)を産生する神経細胞を作り、パーキンソン病患者に移植する計画を推進しているのは山中伸弥博士グループの高橋淳京都大教授ら。この度世界初の治験計画にゴーサインがでたそうです。パーキンソン病は遺伝要因と環境、食生活など外来要因が複雑に絡み合うといわれる難病。発症、原因のパターンがいろいろあるようですから、脳神経細胞衰弱の本当の根本を発見し、根から絶たねば全面解決はできないでしょう根本原因究明には患者由来のiPS細胞を作り、ドーパミン産生ニューロンに分化させ、病態の再現が理想的。これにより薬剤の効果・毒性評価を含めて大きな進展が期待できるといわれてきました。今回はこの困難な患者由来のiPS細胞作成ではなく、着手しやすい他人細胞でiPS細胞を作り、治験を進めるということだそうです。iPS細胞が再生医療...
癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

細胞老化と癌(その15): 線虫が予見した長寿達成と癌制御のメカニズム: インスリン受容体と線虫の突然変異体daf-2とdaf-16

癌と長寿をテーマに連載を続けていますが、難敵の癌を征服することは糖尿病、過剰免疫疾患を含めた様々な難病をも征服し、多くの人が願う健康長寿を達成することに繋がります。メカニズムが共通だからです。癌細胞の代謝による大量の活性酸素発生と好気的解糖(aerobic glycolysis)によって生じるグルコース(ブドウ糖)は、癌細胞の栄養素として癌細胞を増殖させていきます。このメカニズム追求が細胞内インスリンシグナル(この場合はグルコース代謝経路での情報伝達)の下流(伝達段階の先)で制御される遺伝子転写因子といえるタンパク質(FoxO1)の発見につながり、癌の転移、拡散、成長などの研究発展に繋がりましたが、糖尿病のメカニズム探究にも大きく貢献しています。1. なぜ線虫(Caenorhabditis elegans)の研究が必要か?寿命を縮めるテロメア短縮酵素を阻害する酵素のテロメラーゼを活性化させるサーチュイン関連物質の研究が長寿や癌の予防に最も重要ということに異論はほとんどなくなりました。しかしながら、サーチュインや類似物質の作動、活性化、消滅などの機序が全て解明されているわけではなく、まだ...
糖尿病のニュースと解説

医療新時代を開くナイアシン(NAD+ NMN)その1: ナイアシン(NAD+ NMN)がサーチュインとコラボレーション: 長寿と癌(がん)研究の新たな潮流
ナイアシン(NAD+ NMN)がサーチュインとコラボレーション: 長寿と癌(がん)研究の新たな潮流

1. アンチエージングに関わるNAD+, NMNはナイアシン(Niacin:NAM)が前駆体NAD+とは生体が摂取した食事の栄養分をエネルギーに転換する機能を持つ補酵素の略語。ニコチンアミド*・アデニン・2ヌクレオチド(Nicotinamide adenine dinucleotide )を指しますが、ほとんどの生物細胞に存在する分子。1906年ごろの古くに発見され、脂質代謝に関わる重要物質として知られていました。NAD+はナイアシン(Niacin)と総称されるニコチンアミド(nicotinamide:NAM)を前駆体として体内生成されます。哺乳類はビタミンB³の*ニコチンアミドを材料として、2段階の酵素反応を経てNAD+を生成する経路(biosynthetic pathway)を持っています。近年に新たなNAD+の機能メカニズム(作用機序)が解明され、NAD+中間代謝物の NMN:ニコチンアミドモノヌクレオチド(nicotinamide mononucleotide)NR:ニコチンアミドリボシド(nicotinamide riboside)を含めて長寿やがん(癌)の抑制に関わることが...
オメガ3脂肪酸のニュースと解説

鬱(うつ)には魚油が効果的: 国立がん研究センター松岡豊博士らのコホート調査

1. 松岡豊博士らがScience誌に新論文を発表国立精神・神経医療研究センター室長兼国立病院機構災害医療センター精神科の松岡豊博士が2017年9月のScience誌(Translational Psychiatry部門)に長野県南佐久郡で続けられていた「魚介類・n-3不飽和脂肪酸摂取とうつ病との関連」のコホート調査成果(大規模な疫学的調査)を発表しました。松岡豊博士が2011年10月に第107回日本精神神経学会で発表された論文「オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)により*PTSDの精神的苦痛が緩和される可能性」はロハスケがすでにご紹介しています。交通事故により心的外傷後ストレス障害を発症した患者に魚油のオメガ3カプセルを投与。12週間観察することにより、マーカーとなる血清中の*BDNF値が次第に上昇することを確認したものです。*PTSD:心的外傷後ストレス障害*BDNF:Brain-derived neurotrophic factor(脳由来神経栄養因子)バーゼル大学(スイス:University of Basel)のアレン博士(Dr. Yves-Alain Barde) が1982年...
糖尿病のニュースと解説

偽健康情報を発信するステマとは

長寿社会の勝ち組となるには(その2更改):メタアナリシスされた健康情報こそ勝ち組長寿への道 信頼できる健康情報はハーバード大学医学部公衆衛生学科、公平な米国HHS発がベスト日本は公平、公正な健康情報を得ることが至難な社会的仕組みですが、健康食生活の基本中の基本は公平な健康情報の入手。テレビやスマホを通じた劇場型情報操作が企業ばかりでなく政府や監督省庁にまで利用される時代。マスコミにあふれる情報に振り回され、混乱するだけの消費者がほとんどともいえますが、「一々気にしていたら何も食べられない」と考えた時点ですでに負け組。糖尿病の発症はxx才で4人に一人、認知症発症はxx才で3人に一人、癌の発生は国民の2人に一人とセンセーショナルな負の数字が踊りますが、見方を変えれば半数、または4分の3は健康を保っている勝ち組です。   アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health)1. ステマ(ステルス・マーケッティング)とは2017年9月になり青汁やウコン取扱い業者が詐欺的なステマ販売をしていると摘発されステマという言葉がメディアに溢れるようになりました。スマートフ...
癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

大隅良典博士 老化と生活習慣病は細胞内異変の自動修復作用不全

2016年ノーベル生理学医学賞は大隅良典博士 パンのイーストを使い細胞のオートファジーを解明 老化と生活習慣病は細胞内異変の自動修復作用不全 大隅良典博士天然のブドウレスベラトロールは細胞内小器官の代謝機能を活発化させ、新陳代謝の促進により糖尿病、高血圧、脳卒中、心血管病など生活習慣病の改善、腎機能、肝臓機能低下抑制に働くことが疫学的に知られています.レスベラトロールの細胞内作用機序詳細は明らかではありませんが、アンチエージング機能は当初話題となったテロメラーゼ制御だけではありません.その根拠となっているのが1950年代に発見された細胞のオートファジー機能。2016年ノーベル生理学医学賞はオートファジー作用遺伝子を1990年代に発見した大隅良典博士に授与されました.下記はノルウェーのカロリンスカ研究所からのプレスリリースを基に解説.The Novel Assembly at Karolinska Institutetオートファジー(autophagy)の図解.図は細胞内小器官のリソゾーム(lysosome)が、形成されたオートファゴソーム(autophagosomes)と結合するまでの...