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癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

なぜ精子のテロメアは長く、癌のそれは短い 現代テロメラーゼ研究の立役者はランゲ博士

1. テロメア(telomeres)研究期待の星はランゲ博士(Titia de Lange)先週ご報告したMIT大学のガレンテ博士らのナイアシンと*サーチュインに関する新たな報告は、オランダ出身のランゲ博士(Titia de Lange)の研究と人気が応援かつ支持する形になっています。*サーチュイン(sirtuins):NAD+依存性ヒストン脱アセチル化酵素(NAD+-dependent deacetylases)(sirtuin:silent mating type information regulation)発見したハーバード大学、MIT大学グループが名付けました.ランゲ博士はガレンテ博士らと同様にテロメア(telomeres)研究のオーソリティー。現在は癌と長寿に関与するテロメア探究の発祥地であるロックフェラー大学教授。ガレンテ博士らと異なるのはテロメア研究の切り口と志です。ランゲ博士のテロメア研究は、創薬を最終目的にする米国東部海岸のガレンテ博士らとは異なり食生活からテロメアの活性化をはかり、癌予防、長寿の達成が目的。そのためか、世界で最も著名で規模の大きい食品会社ネスレの役...
トランス脂肪酸のニュースと解説

アクリルアミドは脳神経や生殖機能にも障害

細胞老化と癌(その12):健康寿命を延ばす若返り第6話:ポテトチップス、フレンチフライ、コーヒーなどのアクリルアミドの発がん性は脳神経や生殖機能にも障害アクリルアミド(Acrylamide)の発がん性は先進各国関係者による国際会議の危険性声明を受けて2002年10月31日に厚生労働省食品保健部が最初の警告.研究の進展に伴い、2005年、2010年、2014年と複数回の警告がありましたが、関連企業にしか理解されていなかった(伝わらなかった)ようです.アクリルアミド(Acrylamide)を発生する食材、食品を取り扱う企業、特に揚げたジャガイモを商品にしている企業や飲食業は10年間以上も対策を練ってきましたが、その間一般消費者のほとんどに真相が伝わっていなかったのでしょう.2016年2月の各社テレビ報道を観ると、解説するキャスターたち、街でインタビューを受ける人たちは一様にアクリルアミドの限りなく黒に近い毒性を理解できていなく、対応する知識がなかったのには驚かされました.2018年3月末にはカリフォルニア州上級裁判所から異例の命令が下りました(第2項参照)1.食品中に生成される有害物質のア...
癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

細胞老化と癌(その10): 腫瘍抑制遺伝子(tumor suppressor genes): お薦めしたいP-53自己抗体定性検査

細胞が癌化すると、必然的にその活性を抑える抗体が発生し、免疫作用が働きます。胸腺免疫細胞(T細胞)、骨髄免疫細胞(B細胞)などとともに、もう一つ活躍するのが癌抑制遺伝子。ただこの抑制遺伝子は免疫細胞と同様に正負の作用を持ちますから、さらなる研究が必要です。ここで解説するP-53癌抑制遺伝子は抑制遺伝子と呼ばれる前は、癌化遺伝子(オンコジーン:oncogene)と呼ばれていた時期もありました。細胞の癌化ではP-53癌抑制遺伝子が急増していることが確認されていますが、当初は援軍なのか敵なのかが不明だったからです。癌抑制遺伝子は色々な種類が発見されていますが、特に癌の発現、進行とともに増加するP-53癌抑制遺伝子は広範囲な癌種に対し主として抑制に活躍します。したがって体内のP-53存在量を確認すれば癌を早期発見し、癌の進行程度が予測できますから、中高年の方々はP-53自己抗体定性検査をできるだけ早く実施されることをお薦めします。1. 癌の予防と長寿達成にはDNA結合制御タンパク質(ヒストン)のアセチル化DNAのたんぱく質構造であるクロマチン(chromatin)が、ストレス、環境悪化や発がん...
癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

細胞老化と癌(その7): 癌の骨転移メカニズムの鍵はランクル(RANKL) レスベが活性化を制御する

1. 骨は人体ネットワークの主要臓器山中伸弥博士が監修、解説したNHKの「骨の健康」TV放映は博士の専門分野だけに説得力のあるものでした(2018年1月7日)。骨には人体を支える骨格ばかりでなく「免疫力、記憶力、筋力、精力の強化」の役割があり骨折、骨粗しょう症などの骨の異常が脳卒中や心筋梗塞、癌の発症、精力減退EDにまでつながることを「人体ネットワーク」の一つとして説明されましたが「体中の臓器が互いに直接情報をやりとりすることで、私たちの体は成り立っている」ということが平易に解説された番組でした。山中伸弥博士が骨の健康促進で推奨した健康法は骨に力学的刺激(メカニカルストレス)を与えること。疫学的には広く知られていることとは言え、分子レベルでの解明はこれからの課題、骨と血管との強い関連研究も進行中ですが、骨粗しょう症が動脈硬化によって引き起こされ、動脈硬化の原因となる高血圧、糖尿病、慢性腎臓病などが骨を不健康にしていることに通じます。山中伸弥博士は「骨は人体ネットワークの主要臓器」と捉えていますが、現状で直面する骨の健康の最大障害は「癌の骨への転移」と「骨粗しょう症」。2. 新薬のターゲ...
癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

細胞老化と癌(その4):カッパB核因子と線維芽細胞成長因子

1. カッパB核因子とはNF-kB(Nuclear Factor kappa B:カッパB核因子)は永い間炎症誘発の本元(prototypical proinflammatory)と考えられていました。カッパB核因子は免疫細胞、脂肪細胞より産生する細胞の増殖や自然死(アポトーシス)、免疫応答、遺伝子転写など生命現象に関与する真核生物の細胞の遺伝子転写因子。NF-kB(カッパB核因子)はノーベル生理学賞を1975年に受賞したデービット・ボルティモア博士(David Baltimore)らが1985年に発見した?(諸説あります)といわれますからまだ約30数年前。古い話ではありませんが、この分野の研究者には大きなテーマであり、、すでに7-8万本に近い論文があるのではといわれる、たんぱく質の複合体です。これまでの研究ではNF-kB(カッパB核因子)は、心臓血管病、糖尿病、癌、悪性腫瘍、クローン病、関節リュウマチ、皮膚老化など免疫不全など数多くの免疫系、炎症系の難病への関与が示唆されています。細胞老化と癌その1で取り上げたマイオカイン(ミオカイン)は300種類以上があるのではといわれる神経伝達物...
癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

長寿社会の勝ち組になるには(その24): ナスの長寿ポリフェノールはアントシアニンとクロロゲン酸の相乗効果

日本は長寿の国としても知られていますが、認知症や癌の発症率では先進国のトップクラス。これは生活のクオリティーを保っていない長寿を意味しますが、保健、医療関係者が指摘する最大の原因が世界有数の野菜嫌い。日本人の健康生活の維持、改善に最も欠けているのが野菜、果実のポリフェノール類。それにもかかわらず、果実、野菜の品種改良では苦さ、渋さの原因となるポリフェノール類を減少させた品種が開発されています。長寿国だから認知症と癌が多いのは当たり前とうそぶくだけでは現状は変えられません。野菜、果実は環境と食生活にあふれる発がん物質と戦うことが出来る貴重な援軍です。1. 40年間で需要が半減した野菜はナス日本の野菜消費量は年々減じており、ほとんどの種類は供給過剰。少子化による人口減が原因ともなっていますが、野菜嫌いの国民性もあるようです。キャベツ、キュウリ、ネギ、ニンジンなど10種類の重要野菜は横ばいを保っていますが、この40年間で唯一需要が半減したのはナス(野菜生産出荷安定法の指定野菜11種類)。ナスには他の野菜には無い特別な保健機能があることが知られていないからでしょう。日本のナス消費の低迷は、現在...
癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

長寿社会の勝ち組になるには(その22): キノコでガンは治せない(その3) 米国の天仙液事件といわれたイミューン・アシストの誇大表示

天然冬虫夏草は偽物が非常に多い.この写真は生薬、食材市場の専門店.(広東省広州:中国)1.米国の天仙液といわれたイミューン・アシスト事件イミューン・アシスト(Immune Assist 24/7)は多種類のきのこから抽出した多糖類(きのこの細胞壁などを構成するβグルカンなど)で作られたサプリメント。各種のキノコ菌糸体のタンク培養健康食品のAHCC(Active Hexose Correlated Compound)や香港などで売られるキノコエキス混合液「天仙液」に共通するところがありますが、イミューン・アシストの価格は5分の1から10分の1。悪性腫瘍、癌、エイズ、B,C型肝炎、鳥インフルエンザなどに著効を示すと表示し販売されていましたが、米国食品医薬品局(FDA)から販売者に警告書が出され、多くの使用者が当惑、混乱した事件(下記に解説)がありました。消費者の関心が高そうな病名を羅列するのはいずこも同じ。致死率の高いガンに「完治する、著効がある」との表示、暗示は多くの患者をひきつけますが完治する実例がないだけに、日米ともに当局が最も神経を使う対象となっています。下記「」内の効能書きはイミ...
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長寿社会の勝ち組になるには(その21) :キノコでガンは治せない(その2) 抗がん剤クレスチンの売り上げが激減したなぜ

マンネンタケ(霊芝:レイシ)キノコは癌治療に非常に有望でしたが、結局は完治させる能力が見出せなかった歴史をもちます。ただし、半世紀近く取り組んでこられた研究者が完治の先例を作れなくとも罹病者の生活クォリティーを向上させ、有為な人生を送ることが出来るのを認めた例は多々あります。問題はキノコ成分だけでは十分な効果が期待できず、いくつかの食生活や生活習慣による条件を満たす必要があることと、過剰摂取の安全性がいまだに不明なことです。また、これまで判明した多くの負の部分を隠し、動物実験の結果や、ねつ造した成果を誇大に宣伝、高価な値付けのキノコ製品を販売する業者が、企業の大小に関係なく、いまだに存在することも不安要素です。キノコの持つ優れた免疫賦活性作用(biological response modifiers:BRM)は抽出したβグルカンなどを精製したものや、菌糸体を培養したものでなく、食用として安価に販売されているキノコから十分得られます。キノコの効能はポリフェノールや抗酸化物質によるものとも考えられているからです。(池川哲郎キノコ博士)βグルカンのみの摂取より、スーパーのキノコに大きな健康...
癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

長寿社会の勝ち組になるには(その20) :キノコでガンは治せない(その1) キノコ薬学のオピニオンリーダー、池川哲郎博士の本音は食用キノコの摂取

1. キノコにガン撲滅の効能があるのかキノコのガン撲滅の効能はいまだに確認できていません。代替医療がブームだった2000年前後は多くの専門診療所が開業しましたがこの時期にはサプリメントの製造や輸入にも多種、多数の企業が参入しました。この頃注目を浴びた素材が抗がん作用があるといわれたキノコ。様々な解説本が書店に並び、「ガンはアガリクスが治す」「メシマコブでガンが消滅」など過激なタイトルで世間を賑わせていました。その後17年。いまだに抗がん作用の機序が明らかにならず、臨床例でも西洋医学に頼らずにガンが完治した実例は報告されていませんが、キノコが優れた健康食品であり、条件を満たせば、がんの予防や延命効果に役立つことの完全否定もされていません。その根拠には国立がんセンター研究所で30年間以上キノコに特化した研究をされた池川哲郎博士の識見と、公平なキノコの薬効評価があるからともいえるでしょう。池川哲郎博士は1957年に東京大学医学部薬学科卒業。(財)微生物化学研究所を経て65年から国立がんセンター研究所化学療法部でキノコの抗がん活性の研究を長く続けられました。この頃に、今につながるキノコ由来の抗...
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スペインで発生したEU史上最大の有毒油症症候群

長寿社会の勝ち組となるには(その18): ヨーロッパ近代史上最大といわれた有毒油症症候群(Toxic Oil Syndrome:TOS) サプリメントの有効成分は特定成分のみを抽出したり、合成するのではなく、出来るだけ当該食材と同様の自然な成分構成を持つことが必要です。自然でない化学合成物質が、天然素材に含有する物質と化学反応を起こし、毒性を持つことが示唆される事件は珍しくありません。摂食量により、有効性と毒性が表裏一体のケースも少なくありません。食材の有用成分は単一よりも複合で効力を発揮することが多いだけでなく、他成分がその毒性を中和します。英国では清涼飲料水に添加された安息香酸(保存料)とアスコルビン酸(合成ビタミンC:酸味料、酸化防止剤)が化学反応で骨髄性白血病の原因となるベンゼンをボトル内で生成し、大騒ぎとなったことがあります。「豊洲新市場のベンゼン汚染:連想させた老化促進AGEと異性化糖」1.アミノ酸の合成には未知な危険因子が多様に存在する長寿社会の勝ち組となるには(その17)で米谷民雄(まいたに たみお)博士の回顧記録(2009年:食品衛生学雑誌)の一部をご紹介しましたが、...
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ブドウ・レスベラトロール豊富な古樹の葉がレスヴィーヌ・ルージュR

2016年11月17日のボージョレーヌーボー解禁日。日本人もワイン慣れしてきたのか、ピーク時に較べれば半減.盛り上がりに欠けましたが、そんな中でもいち早く売り切れたのが古樹からの(ワイン)ヴィエイユ・ヴィーニュ(Vieille Vignes).ボージョレ―・ヴィラージュの赤やマコンの白が売られていました.ストレスの強い年の新ワインはレスベラトロールが豊富といわれますが古樹からの新ワインは特に慢性生理的炎症を防ぐブドウ・レスベラトロールが豊富.かなり認知されてきたようです。古樹の中でも60年以上の老木紅葉から作られたのがレスヴィーヌ・ルージュ®特にブドウ・レスベラトロール、ポリフェノール類が豊富といわれます.フランスでは60年以上の古樹の紅葉は伝統医薬品となっています。ラ・ヴィーヌ・ルージュ(La Vigne rouge)プーシキン美術館(Le musée des beaux-arts Pouchkine )1.ゴッホの「赤い葡萄畑」に因んだレスヴィーヌ・ルージュゴッホ(Vincent van Gogh)が1888年にアルルで描いた作品に赤い葡萄畑(あかいぶどうばたけ: La Vigne...
トランス脂肪酸のニュースと解説

慢性化生理的炎症を軽減 天然魚油のシス型オメガ3

長寿社会の勝ち組となるには(その14): NHK10月29日の特別番組で放映された「健康と長寿」内外の100才を超える方の健康法を取材していましたがテーマは万病の元となっている体の慢性炎症。ノギが数十年間、限りなく追及しているテーマです。外傷による炎症ばかりでなく、アルツハイマー、パーキンソン病、2型糖尿病、難聴、ぶどう膜炎、老化、ガンなど多くの健康障害の原因となっているのが生理的炎症(bio inflammation)一般の方は炎症というと外傷や扁桃炎、口内炎など目に見える腫れをイメージし体内組織の慢性炎症に気づいている方は少ないですが癌のマーカーとなるのは体内に起きている炎症。加齢により痩身の方が肥満体になっていくメタボも細胞の炎症。慢性炎症こそ万病に見られる兆候であり、手遅れになる段階までほとんどの方は気づきません。慢性炎症の悪化は、まさにノーベル賞を受賞した大隅博士が指摘している全国ネットのNHKが生体の慢性炎症の危険性を広く認知させてくれたのは気づかずに放置している国民に大きな警告となったと思います。「天然魚油のDHA/EPA(オメガ3)とは:脂肪酸代謝物エイコサノイドとプロ...
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大隅良典博士 老化と生活習慣病は細胞内異変の自動修復作用不全

2016年ノーベル生理学医学賞は大隅良典博士 パンのイーストを使い細胞のオートファジーを解明 老化と生活習慣病は細胞内異変の自動修復作用不全 大隅良典博士天然のブドウレスベラトロールは細胞内小器官の代謝機能を活発化させ、新陳代謝の促進により糖尿病、高血圧、脳卒中、心血管病など生活習慣病の改善、腎機能、肝臓機能低下抑制に働くことが疫学的に知られています.レスベラトロールの細胞内作用機序詳細は明らかではありませんが、アンチエージング機能は当初話題となったテロメラーゼ制御だけではありません.その根拠となっているのが1950年代に発見された細胞のオートファジー機能。2016年ノーベル生理学医学賞はオートファジー作用遺伝子を1990年代に発見した大隅良典博士に授与されました.下記はノルウェーのカロリンスカ研究所からのプレスリリースを基に解説.The Novel Assembly at Karolinska Institutetオートファジー(autophagy)の図解.図は細胞内小器官のリソゾーム(lysosome)が、形成されたオートファゴソーム(autophagosomes)と結合するまでの...
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認知症のアポE遺伝子制御は可能か 米老化研究所のアポE4調査

長寿社会の勝ち組となるには(その12)2030年には65才の高齢者が7,000万人を超えると予想されるアメリカ合衆国。加齢により増加が予想される認知症は国の将来の暗雲となる社会問題です。アルツハイマー型認知症のβアミロイド沈着にはいろいろな原因が挙げられますが米国立老化研究所では脂質の代謝に関わるアポリポタンパク質E型遺伝子(apolipoprotein E:ApoE)の関与を強く疑っています。(アポリポタンパク質Eは省略してアポE)1. 米国立老化研究所の遺伝子調査「GeneMatch」2016年9月8日にアメリカ厚生省(NIH)の国立老化研究所(National institute of aging)より多数の国民にメールが送られました。アルツハイマー認知症予防のために(The Alzheimer’s Prevention Registry)認知症発症に関与する疑いが濃いアポリポ蛋白質遺伝子E(apolipoprotein E:ApoE)の対立遺伝子(APOE type allele:アレル)タイプを調査するためのボランティア―募集でした。名付けて「GeneMatch」アポリポ蛋白...
癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

長寿社会の勝ち組となるには(その11): 認知症予防と悪化抑止に17の提案:脳と海馬がダウンサイズしては手遅れ

認知症予防のおすすめ料理は豚肉とニンニク、タマネギ炒め抗酸化性が増強された赤紫色素のニンニクとタマネギ1. 認知症と脳や海馬の縮小(Cerebral Atrophy)過去の記憶を思い出せるが、現在は記憶力が極端に低減ということがありませんか.これは単純に加齢現象で片付けられません。記憶力の減退は個人差が15年から20年はあるでしょう。記憶力を司る(つかさどる)のはタツノオトシゴを意味する海馬(Hippocampus)。虚血、酸欠に繊細に反応する器官です。脳は脳幹・大脳辺縁系・大脳皮質の3つから成り立っていますが、海馬は大脳辺縁系(だいのうへんえんけい:limbic system)の内側側頭葉(medial temporal lobe)左右に対で存在。左側の役割が主として記憶や言語。海馬の形状は名前の由来であるタツノオトシゴ(写真下:右は対の干物)に似ています。 アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症(Lewy body dementia)や糖尿病、腎不全などでは脳のサイズ減少や海馬の損傷と縮小(atrophy)が顕著にみられます認知症は脳や海馬のダウンサイズがはっきり...