グルタミン代謝酵素グルタミナーゼ1の阻害
1. 対応策が見いだせないCOVID-19の変異株
新型コロナウィルス(COVID-19)の前例がない長期間にわたる感染の世界的な広がりで、変異株ウィルスに幾つもの新株や亜種が出現しています。
過去に前例がない事態となりましたが、異例づくしには世界中の叡智さえ、打つ手がない手詰まり状態。
人類の攻撃を避けながら、巧みに変化し続ける変異株。
変異株と呼ばれるのは異なる性格を持つからです。
正体に不明点が多々あり、重症感染者、死者など被災者数が極端に少なかった日本人が変異株に対面しても、これまでのように軽微な被害で済むのか、重症者、死者の割合が急増するのか見当がつきません。
欧米、ブラジル、フィリッピンなどに較べて軽症かもしれませんが武漢型に較べれば重症度が高くなることは避けられないでしょう。
現状では感染症対策の原点に帰り、体細胞の活性化により免疫力を強化して身を護るしかありません。
2. 長寿への意欲がCOVID-19変異株の最強防御策
37兆といわれる体細胞の2%(約7.4千億個)くらいが代謝を毎日繰り返してしている(らしい)人体。
人体の部位により代謝スピードは異なるといわれますが、健康な方でも加齢により細胞代謝機能は衰えてきます。
長寿研究の根元(ねもと)は、この機能低下を抑制することであるといっても過言ではありません。
長寿を妨げる最大の壁は加齢疾患といわれる癌と、脳や心臓の血流に異常をきたす血管の老化ですが、これはイコール体細胞の老化現象です。
新型コロナウィルス(COVID-19)は高齢者や、生活習慣病など加齢疾患をベースに抱える人に重症化が顕著ですが、いずれも体細胞が衰えて免疫力が低下していることが最大の原因です。
3. 不老長寿を目指す人に新型コロナは近づけない
体細胞代謝機能の衰えを防ぐ方法の切り口は様々ありますが、運動、生活環境(大気汚染、放射線)、医薬品の減量と並んで最も重要といえるのが栄養バランスの良い食生活。
老化の原因となる食生活で注目すべきは「食べ過ぎ」ですが、長寿に必要な食生活がカロリーリストリクションであることはすでに議論されつくされています。
「羽鳥慎一のモーニングショー」 長寿にはカロリー・リストリクションとレスベラトロール
新型豚インフルエンザは人造ウィルス?(Prof.Adrian Gibbs)
1. 新型インフルエンザが、なぜメキシコで発生?オーストラリアの科学者ギブス氏とマスコミとのインタビューが波紋を起こしています。2009年5月11日のインタビュー内容は「メキシカン・豚インフルエンザは人為的なもの」:ウィルスは実験室で造られた?「典型的な実験室人造ウィルス(a typical lab made artificial design porcine influenza virus)」というものです。ポーサイン(porcine influenza)はスワイン(swine flu)と同様に豚インフルエンザを意味します。新型インフルエンザがなぜメキシコから? なぜA(H1N1)?なぜメキシコ人の死者が圧倒的に多い?という疑問を持つ関係者は少なくありません。ギブス氏(Adrian Gibbs)は75歳。引退してオーストラリア在住。現役時代はタミフルやリレンザのオセタミヴィル(oseltamivir) 、ザナミヴィル(Zanamivir)開発に主導的な役割をはたしました。ギブス氏の発言にはバイオテロとの言及はなく、研究途上のミスとの見解。発言は正式なものではなく、細かな立証データが公...
老化の原因となる食生活で、その他に注目すべきは筋力増強と体重増加に使用される合成アミノ酸と、化学合成添加物。
避けたい化学合成食品添加物は発がん性物質を中心に「星の数」と表現されるほど沢山ありますが、身近なのが「うま味調味料と人造甘味料」
長寿社会の勝ち組となるには(その46): 危険なアミノ酸バランスの崩壊: 継続的合成アミノ酸摂取と医薬品による腎臓障害の多発
https://nogibotanical.com/archives/7460
合成アミノ酸の過剰摂取が問題となるのは主としてスポーツマン。
合成アミノ酸の過剰摂取は医薬品過剰摂取同様に「腎不全」の大きなリスク・ファクターです。
厚生省は1990年3月31日に生活衛生局食品保健課新開発食品保健対策室長が
「アミノ酸を含有する健康食品の取扱について」を通知しています.
その中では,「特定のアミノ酸を高濃度に含有させた健康食品を継続的に摂取するとアミノ酸バランスを損なうおそれがあるので,このような健康食品を継続的に摂取することのないよう注意すること」としています.
「トリプトファンによる好酸球増多筋痛症候群(EMS)事件
合成必須アミノ酸の安全性」
長寿社会の勝ち組となるには(その17): トリプトファンによる好酸球増多筋痛症候群(EMS)事件 合成必須アミノ酸の安全性4ラトロールが寄与するコラーゲンの体内生成: NF-kB(カッパB核因子)の功罪
長寿社会の勝ち組となるには(その17):
好酸球増加筋肉痛症候群(EosinophiliaMyalgia Syndrome:EMS)1990年代に発生した必須アミノ酸のL-トリプトファン・サプリメントによる好酸球増多筋痛症候群(EMS)発症は、日本企業が2,000億円を超えるとも言われる賠償金を支払った大事件でした。合成アミノ酸による食品やサプリメントが10年来のブームともなっている現在、その事件を思い起こし、学ぶことは健康長寿の勝ち組になるには必須の知恵。この事件は必要悪として合成アミノ酸を大量摂取するプロスポーツ選手や芸能人の真似をする危険性を示唆しています。このコラムでは、この健康障害事件発生当時に厚生省(厚生労働省)で事件を担当され、現在日本食品衛生学会会長を務められる米谷民雄(まいたに たみお)博士の回顧記録(2009年:食品衛生学雑誌)をベースに、事件をダイジェストで紹介しています。米谷博士は京都大学薬学部で食品衛生学、食品化学、分析化学などを学び、厚生労働省では残留農薬などによる食品の汚染についての調査や、食品に含まれる金属について化学形の分析をテーマにされていました。「必須アミノ酸製品等による健康影響に関する調...
4. グルタミン代謝酵素の阻害で長寿を達成
2021年1月15日のサイエンス誌に日本のがん研究グループの注目すべき論文が発表されました。
不老長寿につながる久々の大ヒットといえる朗報です。
「Senolysis by glutaminolysis inhibition ameliorates
various age-associated disorders」
「老化細胞のグルタミン分解を阻害することで加齢疾患発症を改善できる」
東京大学医科学研究所癌防御シグナル分野の中西 真教授ほか以下の研究所メンバーによりこのプロジェクトのチームが構成されています。
九州大学生体防御研究所
新潟大学大学院医歯学総合研究科
慶應義塾大学医学部 医化学教室
理化学研究所 メタボローム研究チーム
国立長寿医療研究所 老化機構研究部
老化細胞のグルタミン分解を阻害
加齢とともに体内には老化を起こし、分裂能力を失った細胞が蓄積しますが、自然死(アポトーシス)とは異なり、老化細胞(Senescent cells:Senolysis)には生存可能な持続性があります。
この老化細胞は*加齢性慢性炎症物質分泌(SASP)の母体となり、様々な加齢性疾患の原因となる、炎症性サイトカインなどの炎症性物質を分泌する悪玉。
長寿を妨げる老化細胞(Senolysis)が、なぜ死滅しないのか、その原因を探っていた日本の上記癌研究プロジェクトチームが、生存を続ける老化細胞には体内生成されたグルタミン酸が顕著にみられることを発見。
グルタミン代謝酵素グルタミナーゼ1の発見
プロジェクトチームはグルタミン酸生成に必須な遺伝子群を探索し、
*GLS1(グルタミン代謝酵素グルタミナーゼ1)を同定。
GLS1を*阻害剤で制御して悪玉である老化細胞を駆除することに成功しました。
(*阻害剤は異なる部位には的確な物質がいくつか必要だろうと予想され、開発が容易ではありません。
すぐ実用化ができるか、既存の医薬品が転用できるかは未明です)
(動物実験)
合成アミノ酸調味料の摂取制限
グルタミン酸は日本を含めたアジア諸国の加工食品や料理に大量に使用される合成アミノ酸調味料として知られています。
この研究は「長寿やCOVID-19 の予防にはグルタミン代謝酵素の阻害が近道」を意味しており言い換えれば、調味料、サプリメント、食品などでのグルタミン酸の摂取を最小限にすれば細胞の活性化が得られ、長寿に近づけることとともに感染症予防ができることを暗示しています。
天然のアミノ酸は蛋白質として体を構成する最重要物質だけに、自然に逆らわずに存在量のバランスを厳密に保たねばならない非常に繊細な物質。
タンパク質は毒にも薬にもなります。
*グルタミン代謝酵素グルタミナーゼ1:
the glutamate metabolic enzyme(GLS1)
グルタミンからグルタミン酸、およびアンモニアを産生する
*老化細胞の蓄積:Senescent cells accumulate
*加齢性慢性炎症物質分泌:Senescence-associated secretoryphenotype(SASP)
プロジェクトチームのニューズレリース声明:
「研究は生体内から老化細胞だけを特異的に除去(senolysis)することで、老化細胞の蓄積に伴う臓器機能の低下や老化関連疾患の発症、さらに個体老化そのものの抑制を目指すもので、肥満性糖尿病、動脈硬化症、および非アルコール性脂肪肝(NASH)の症状改善に有効であることも見いだしました」
5. GLP-1受容体作動薬リベルサス
糖尿病の治療薬としてGLP-1受容体作動薬の「セマグルチド:Semaglutide」が発売されています。
2020年度よりリベルサス(ブランド名)として販売されている
ノボノルディスクファーマ株式会社(Novo Nordisk Pharma Ltd.:デンマーク)の注射薬です。
2021年2月からは経口投与薬リベルサス錠が発売開始されました。