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トランス脂肪酸のニュースと解説

禁断の実を選択す食用油多国籍企業 のトランス脂肪酸フリー

トランス脂肪酸研究会乃木生薬研究所は、1990年代よりトランス脂肪酸の排除に取り組んでいます。1.トランス脂肪酸か?遺伝子組み換えか?飽和脂肪酸か?の選択食の安全問題で、新御三家ともいわれるのが、「食品添加物」、「遺伝子組み換え」、「トランス脂肪酸(トランス脂肪)」の有害論です。なかでも15年前頃より急浮上してきたトランス脂肪は、健康障害をおこす諸悪の根源ともいわれるようになり、現在では大手食品会社最大の関心事となりました。トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増やし、肥満や、重大疾患である心筋梗塞、脳卒中、2型糖尿病、胆石、アテロームのリスクファクターとして最大のものであるといわれています。特に心臓の冠状動脈疾患死亡者が年間50万人を越える米国では、トランス脂肪の排除に真剣に取り組み、2006年1月1日には3年間の猶予後トランス脂肪酸表示が義務化されました。ヨーロッパの先進各国はこれに追従する動きを見せ、トランス脂肪の削減ないしは追放を迫られる大手食品会社の悩みは尽きません。加工食品の40%以上に食用油が使用され、トランス脂肪に深く関与しているからです。世界の食品業界は、巨大メーカーと...
危険ハーブ、覚醒剤、麻薬

MDMA(エクスタシー)の重篤な健康被害: 米国を蝕む覚醒剤MDMAの恐怖

1.急増する世界のMDMA汚染2004年ごろから、日本では覚醒剤のMDMA(メチレンジオキシメタンフェタミン)の輸入密売が急増。2004年は前年度比200%を超える約41万錠が押収されましたが、2005年の2月11日に埼玉県で摘発されたケースは史上最大の規模で約29万錠、末端価格で11億円強ともいわれています。日本の2013年押収量は約850キロ、2012年に較べ倍増。1グラム7万円といわれますから換算してみてください。12年の中国16,000キロ、タイ10,000キロには及びませんが日本でも着実に覚醒剤汚染が進んでいます。(錠剤の重量換算は不明)覚醒剤のMDMA汚染は若年層を中心に世界中で急増しており、健康への新たな脅威となりました。特に米国社会の汚染は深刻。国際警察(Interpol)のMDMA押収データは新しいものが入手できませんが、1999年の世界レベルの押収量は2200万錠といわれており、これは前年の約4倍増となります。このうち米国での押収量が半分以上を占めます。1999年のヨーロッパ全体の押収量は141万錠で、これも前年(1998年)の約3倍増。欧米ともに2000年以降も増...
しらす・さぶろうの日本人がんばれ!観光立国編

第三十一話:対中国観光政策はこのままで良いのか: 中国人庶民は日本観光ができるのか

観光立国の柱となる中国人誘致に国中が狂奔。ビザの所得制限ハードルを下げれば1000万人以上の中間所得層が対象となる。成田には専用アウトレット・モールまで作るという。観光立国の基本は隣国の開拓。世界最大の人口を持つ中国を対象とするのは当然のこと。中間所得層はこれからも急増するだろう。事実2013年は急増する来日中国人観光客が関連業界を潤している。ところが、観光先進国の先例セオリーが当てはまらない大きな問題は、隣国との所得格差。中国人が急増しているといっても、4000万人を超える巨大観光人口のわずかな割合。 大国の中国は隣国であり、日本とは永い明暗の歴史がある。どんなに時間をかけても現状の政策で深い溝を埋めるのは至難。富裕層や中間所得層の来日が増えた程度では解決しない。悪しき反日学校教育を受けている庶民、学生に来て、見て、交流してもらう必要がある。 中間所得層の平均所得は日本の生活保護支給金額に近いと指摘する人がいる。格安運賃で茨城空港に着いた中国人観光客のインタビュー。機内弁当が約350円、飲料水が約90円。高すぎたので我慢したそうだ。買い物客がターゲットというが、これからの1000万人...
世界の健康と食の安全ニュース

花王のクッキングオイル・エコナが突然の販売停止: 化学合成のジアシルグリセロール食用油に疑問符

2009年9月17日から花王のエコナとその関連商品が販売中止となりました。その後トクホ(特別保健用食品)認定も取り下げています。発ガンが疑われながらも、長期にわたり年間200億円が売り続けられたエコナ。2009年9月16日に民主党の新政権が発足。行政のタブーが厚生労働大臣、消費者担当大臣が変わったことにより急遽表面化?その後2014年には台湾でも同様な事件が起きています。化学技術が生んだジアシルグリセロールとは?暴露されたトクホの欠陥。2005年10月01日に書かれた「ジアシルグリセロールの食用油に疑問符」を2009年09月17日に再度ご紹介した記事です。 1.特別保健用食品(トクホ)の食用油「エコナ」とは:  化学合成されたジアシルグリセロールは発癌促進物質か植物性食用油に少量含まれるジアシルグリセロールは中性脂肪が付きにくいという特性があるようです。この特性に着目して、人工的に食用油成分の80%以上をジアシルグリセロールにするよう化学合成した製品が花王のクッキングオイル「エコナ」。厚生労働省も特別保健用食品(トクホ)に認定していました。ところが欧米では3-MCPDエステルの前駆体と...
世界の健康と食の安全ニュース

美白化粧品「ロドデノール」の教訓: 美白成分の危険性は白斑だけではありません.

2013年7月にカネボウ化粧品(花王グループ)の化粧品が白班症を引き起こすことが判明し数千人の重度被害者が報告された事件。カネボウ化粧品(花王)の美白化粧品発売中止は美白化粧品全体に波紋を広げました。「美白に王道なし」の言い伝えはそのとおり。理論的に美白に繋がる医薬部外品成分はいくつも存在しますが、主流は脂溶性ビタミンのA。ところが実際にはその前駆体や誘導体を加工したもので、ビタミAの安全性とは異なる物質。副作用を覚悟で使用しなければならないのはいずれも同じと考えています。ビタミン、ミネラル、オメガ3(DHA/EPA)、セサミンなど、大量販売されるサプリメントの主流は化学合成された物質。源流となった動植物はイメージですから、源流の安全性は引用できません植物には数えきれないといわれるほど多数の物質が存在します。自然界ではその成分同士が様々な反応、結合などを繰り返しますが、食品の場合はその作用を通じて人体への安全性が確保されています。一種類または数種類の成分のみを取り出した場合は安全性が保障されるものではありません。美白を期待するならば有効成分を持つ天然の植物をそのまま食することがお奨めで...
オメガ3脂肪酸のニュースと解説

オメガ3が関与する内因性カンナビノイドの働き

オメガ3系(EPA/DHA)多価不飽和脂肪酸(Polyunsaturated fatty acids:PUFA)に鬱病(うつ)防止などの精神安定効果があることはかねてより、多数の研究報告があります。しかしながら疫学的、経験的に理解されているオメガ3の効能も、その作用機序が徐々に明らかになりつつあるのは最近のことです。精神神経安定に関与する内因性カンナビノイド1.オメガ3が関与する内因性カンナビノイド(endocannabinoid:eCB)の働き:脂肪酸バランス改善が決め手オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)が精神的行動異常をコントロールするメカニズムに関しては、今年1月(2011年)にボルドーの*フランス国立衛生医学研究所(INSERM)のラフォルカデ(Lafourcade)博士らが、オメガ3欠乏食を与えたマウスによって内因性カンナビノイド(endocannabinoid:eCB)がシナプス近傍で局所的に蓄積することを確認しています。カンナビノイドはマリファナ活性成分類似体の総称で、大麻の学名(Cannabis sativa)に由来。カンナビノイドの中枢神経を刺激する幻覚、興奮成分は類似...
世界の健康と食の安全ニュース

日本の温泉は安全か? 放射線のラドンは肺がんの原因となる:放射線と放射能

1.世界保健機構(WHO)がラドン被曝と肺がんの因果を警告2005年6月21日、世界保健機構(WHO)は放射線のラドンが肺がんの重要な原因であることを警告しました。WHOに依れば癌(がん)の原因の6 %から15%がラドンに起因するそうです。また、WHOは本年より2007年までの3年間の予定で、国際ラドンプロジェクト(the International Radon Project)を立ち上げました。世界の研究者に呼びかけてネットワークを作り、認知度の低いラドン被曝の有害性を警告し、対策を検討するためです。WHOの今後の課題は、ラドンや放射線の知識を広め、ラドンの濃度の高い地域の世界的なマップを作ることです。2.ラドン・ガスが発生しやすいところはウラン鉱石含有地ラドンは自然に存在する放射性のガス(radioactive gas)で、世界中どこにでも存在します。日本も例外ではありません。ラドンを形成するウランは地球上のどこにもあり、ウラン含有鉱石は100種類を超えるといわれます。当然のことながら、濃度の高い地域はウラン鉱山、その他の鉱山、洞窟、温泉などが挙げられます。大気中のラドンは土壌のウ...
ブドウ・レスベラトロールのニュースと解説

「ペットボトルが売れたボジョレー・ヌーボー: フランスの苦言は無視しよう」

2009年11月19日木曜日はボジョレー(Beaujolais)・ヌーボーの解禁日。ルイ・ヴィトンと同様に、ボジョレー・ヌーボーは今(2009年)でも日本が世界最上の得意先。それでも、かっての馬鹿騒ぎが無くなり、売上もピークの半分。踊らされている日本人に情けなさを感じていた有識者もこれで一安心。フランス人が影で舌を出しているようで気になっていた。 ワインは度数が低く、アルコールが苦手な日本人向き。アルコールそのものより雰囲気を楽しむ人が多い。そこをボジョレー・ヌーボーのマーケッティングに利用された。はやく他国にトップの座を譲りたいたい。大消費が期待できるBRIC'S(ブリックス)があるではないか。毎度の宣伝コピーではあるが、今年の出来は史上有数。ところがピークは3000円前後したヌーボー・ワインも、今年の売れ口は安価なもの。1000円以下のヌーボーは即日売り切れた。これが妥当価格だからだ。安く出来たのは輸入業者苦肉の策、軽量なペットボトルによる空輸費の削減。ところがフランス人関係者から、おかしな苦情が出た。「ペットボトルのワインとは日本人はワイン文化を解っていない。今後は禁止したい」。...
世界の健康と食の安全ニュース

マジック・マッシュルームの幻覚作用:毒素シロシビンとは

脱法ドラッグと通称される幻覚物質は世界中で販売されていますが特別に希少性があるハーブやキノコ類ではないために、安価で手軽に手に入ります。このドラッグが危険なのは習慣性を持ち、覚醒剤の入門ドラッグとなることにより、覚醒剤、麻薬へと進むこと。またMDMA、PMA(後述)などの覚せい剤をハーブやキノコに混入させたドラッグがあることです。脱法ドラッグが危険なのは吸飲者が予想するより作用が強く、常習により脳神経を侵され続けるうちに社会生活が困難な廃人状態になること。(参考記事)幻覚作用を起こすアルカロイドはインドール(indoles)と呼ばれる、アミノ酸のトリプトファン(tryptophan)由来の構造を示すものが大部分。これは強い有毒性を示すキノコ毒アマニータと同様な構造です。1.覚醒剤常習者は複数の薬剤を使用します。覚醒剤のMDMAが怖いのは、混ぜ物(adulterants)が多いことです。MDMAは他の薬品が混入された場合や他の薬品と併用した場合に事故率が急激に高くなることが多いそうです。混入の場合は使用者がそれを存知していないことがほとんどといわれますから厄介です。最も多い混ぜ物はパラメ...
オメガ3脂肪酸のニュースと解説

内因性カンナビノイドと魚油 INSERMラフォルカデ博士

オメガ3系(EPA/DHA)多価不飽和脂肪酸(Polyunsaturated fatty acids:PUFA)に鬱病(うつ)防止などの精神安定効果があることはかねてより、多数の研究報告があります。しかしながら疫学的、経験的に理解されているオメガ3の効能も、その作用機序が徐々に明らかになりつつあるのは最近のことです。1.オメガ3が関与する内因性カンナビノイド(endocannabinoid:eCB)の働き:脂肪酸バランス改善が決め手オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)が精神的行動異常をコントロールするメカニズムに関しては、今年1月(2011年)にボルドーの*フランス国立衛生医学研究所(INSERM)のラフォルカデ(Lafourcade)博士らが、オメガ3欠乏食を与えたマウスによって内因性カンナビノイド(endocannabinoid:eCB)がシナプス近傍で局所的に蓄積することを確認しています。カンナビノイドはマリファナ活性成分類似体の総称で、大麻の学名(Cannabis sativa)に由来。カンナビノイドの中枢神経を刺激する幻覚、興奮成分は類似物質が人体にあることが知られており、内因性...
健康と食品の解説

サポニン(saponin)とは:サポニンの種類と生薬

1. サポニン(saponin)とはサポニンは、植物界に広く分布し、一次代謝産物(アミノ酸、脂肪酸、ブドウ糖)が複合して出来る二次代謝産物。分類上はテルペン類のトリテルペン(triterpenes)に分類されています。植物のトリテルペンはアルカロイドと共に、生薬として漢方、和漢方、アーユルベーダ、西洋ハーブなどの最も重要な薬効成分の一つ。サポニンの分子構造はトリテルペンやステロイドにオリゴ糖(二個以上の糖が結合したもの)が結合した配糖体。「性ホルモン、ステロイドを合成するトリテルぺンは植物成分のテルペノイド(terpenoid)」2. サポニンの界面活性作用(サーファクタント:surfactant)サポニンは同一分子内に親水基(水に馴染む糖の部分)と疎水基(水を嫌うアグリコンの部分)を持ちます。アグリコンは糖が切り離された状態です。この界面活性作用が、サポニンを摂食した人体の細胞膜に有用物質を浸透させるといわれています。サーファクタント(surfactant)は化学用語ですが、乳化剤作用と同じですからエマルシファイアー(emulsifier)とも呼ばれます。3. サポニン(saponi...
癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

癌につながる白髪発生のメカニズム: 京大西川伸一教室

2004年12月23日に「白髪発生のメカニズム」(Mechanisms of Hair Graying)という論文が電子版サイエンス誌に発表されました。主筆は米国ダナファーバーがん研究所のデーヴィッド・フィッシャー教授(David E. Fisher)。日本でもマスコミに採り上げられ、白髪防止薬を期待する論調もありましたが、防止薬の完成までには、まだまだ大きなハードルがあります。発表された研究は、白髪の原因であるメラノサイト幹細胞の自然死に関わる遺伝子解析。メラノサイト幹細胞は、悪性の皮膚がんであるメラノーマ(Melanoma)発現の原因ともなりますから、意図的な細胞増殖、修復などの操作は、皮膚がん発生の危険性に繋がります。フィッシャー教授らが、メラノーマ研究の途上で、このような発表をしたのは、地味なメラノーマの研究を、一般人向けにアピールさせる狙いかもしれません。1.白髪発生のメカニズム、メラノサイト幹細胞の自然死白髪発生のメカニズム研究は京大の西川伸一教授らが10年以上も先進していました。今回の電子版サイエンス発表の共同執筆をしたダナファーバーがん研究所の西村栄美(エミ)博士(Em...