2年ぶりにマレーシアを訪れて驚いたのは肥満の急増。
特に田舎に多いという。南部では都会でも肥満だらけ。
クアラルンプールやペナンに比べジョホール・バルが目立ちます。
政府も実態を重視。
様々な肥満防止策を打ち出していますが、しょせんペーパーによる啓蒙。
なかなか国民には浸透せずにトレンドを阻止するにはいたっていません。
世界保健機構によればマレーシアの成人肥満率はアジア諸国で第6位。
1996年の調査(the National Health and Morbidity Survey)以来、2010年までの
15年間で肥満率の増加が3倍。
この調査では国民の3割が肥満ということになりますが、エーというほど実感とは程遠い数字。
いずこの国も政府発表は誇張か隠ぺいのどちらか。実態とはかけ離れています。
民間調査では国民の半分が肥満という報告もありますが、3分の2でもおかしくありません。
いずれにせよ肥満率の正確な調査は難しく、限られたサンプル調査、アンケート調査では
非常にアバウトにならざるを得ませんから、調査は目安程度。
街で観測すれば、「半分が肥満説」を支持したくなります。
観光客が非常に多いクアラルンプールは国民との区別ができず、
信頼できる観測ができませんが、
地方のジョホール州ではどこもが肥満だらけ。
特に目立つのが超肥満。
BMIが23を超えているのがオーバーウェイト。
25を超えているのが肥満と分けているようですが、
成人の半分は23以上との研究があり、160センチくらいで100キロを超えるように見える
超肥満の女性が目立ちます。
政府が挙げる肥満の原因は
「ココナッツ・オイル中心の伝統食過剰」「砂糖の過剰」「食用油の過剰」「運動不足」。
原因は政府の指摘通りだとは思いますが、何故そうなるのかまで言及していません。
その起源を探れば激しい所得格差をもたらす政治と経済の貧困が見えてきます。
半世紀にも及ぶ1党政治。
マレー人重視政策のプミプートラ(bumiputera)は最近になり
批判が多くなってきましたが、「農民を豊かに」とばかり、
収益の良い「油やし」栽培を振興。どこを観ても油やし畑。
肥満の起源は
「体に良い伝統食が無い」「アメリカ食文化の急増」「宗教的理由による禁酒」
「野菜畑が油やし栽培に転化」「冷蔵、冷凍装置の未熟」
に行き当たりますが、誰もがそれには言及していません。
「体に良い伝統食が無い」「アメリカ食文化の急増」
① マレーシアの食はインド、タイ、中国、インドネシア料理。オリジナルがありません。
選択肢が広すぎ。近年急増するアメリカのファーストフードも安易に受け入れ抵抗がありません。
「宗教的理由による禁酒」
② 禁酒と蒸し暑い半島の気候は清涼飲料水のがぶ飲みにつながり、
害が多いといわれる人造甘味料摂取過剰。または砂糖レスが非常に困難で糖分過剰。
「野菜畑が油やし栽培に転化」
③ 油やしのおかげで、野菜畑、果樹畑が不足。慢性的なビタミン・ミネラル・ポリフェノール不足による
代謝の異常。
「冷蔵、冷凍装置の未熟」
④ 冷蔵、冷凍設備の未熟により生鮮食材の保存難、生鮮は干物など乾物か
揚げ物料理が中心。
感染症を防ぐには爆炒が最適ですから油脂分過剰は已むをえません。
肥満、動脈硬化の基ともなる過酸化脂質、トランス脂肪酸過多の食用油ばかりでは
健康の維持ができるはずがありません。
(生鮮食材研究家:しらす・さぶろう)
世界の健康と食の安全ニュース の記事一覧
- 新浪サントリー会長の麻薬常習疑惑と日米のオピオイド危機
- レスベのスチルべノイドが防御する微生物感染症: スチルべノイドが免疫細胞強化ペプチドのカテリシジンを活性化
- トランプ大統領の医療行政改革は日米の赤字財政改善の鍵 「日本は相互関税の対抗措置をとるべき」ではありません
- トランプ大統領の過激な宣伝フレーズ 新時代の緻密なマーケッティング・テック駆使
- トランプ大統領がWHO脱退を即決した背景 太平洋戦争戦勝国のおごりと黄昏(たそがれ)
- トランプ政権のNIH再編成とWHO脱退の荒療治 赤字財政の主因である日本の医療制度、改革が大進歩
- 究極の©オールインワン・メッド(AOM)はフォシーガか、ツイミーグか
- 世界の生牡蠣市場を盛り上げる日本のマガキ: これであなたも生牡蠣博士第一話:日本の生牡蠣とノロウィルス:30年間生産量が増えない世界牡蠣養殖何故?
- 認知症抑制タンパクNrf2を活性化する旧仏領インドシナの花食文化(2) 脳神経変性疾患の予防にベトナムの鉄人花鍋
- 長寿社会の勝ち組となるには(その16): 医者により廃人にされた腎不全患者:偽AI健康情報にご注意 ChatGPで良質な健康情報が得られるか